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邪悪な霊の勢力に抵抗しなさい

邪悪な霊の勢力に抵抗しなさい

第12

邪悪な霊の勢力に抵抗しなさい

1 イエスは邪悪な霊たちに出会った時,どのような反応を示されましたか。

イエス・キリストは祈りと黙想のため,バプテスマを受けるとすぐにユダの荒野へ行かれました。そこでは悪魔サタンが神の律法を破らせようとしましたが,イエスは悪魔の仕掛けた誘惑を退け,そのわなに陥りませんでした。イエスは地上で宣教に携わっていた時も,他の邪悪な霊たちに出会っておられます。しかし,イエスは再三それらの霊を叱りつけ,彼らに抵抗されました。―ルカ 4:1-13; 8:26-34; 9:37-43

2 これからどんな質問を考慮しますか。

2 そのような出会いを示す聖書の記述を読むと,邪悪な霊の勢力が実在することを確信できるはずです。それらの霊は人々を惑わそうとします。しかし,わたしたちはそうした悪い霊に抵抗することができます。それにしても,邪悪な霊たちはどこから来たのでしょうか。それらの霊はなぜ人間を欺こうとするのでしょうか。また,自分たちの目的を達成するためにどんな方法を用いますか。そのような質問の答えが分かれば,邪悪な霊の勢力に抵抗するための助けが得られるでしょう。

邪悪な霊たち ― その起源と攻撃目標

3 悪魔サタンはどのようにして存在するようになりましたか。

3 エホバ神は人間を創造するずっと前に膨大な数の霊の被造物をお作りになりました。(ヨブ 38:4,7)この本の第6章で説明されているように,それらのみ使いのひとりが,人間のささげる崇拝をエホバではなく自分に向けさせたいという欲望を募らせました。この邪悪なみ使いはその目標を実現するため創造者に抵抗し,中傷を浴びせ,神は偽り者であると最初の女にほのめかすことさえしています。それで,反逆的なこの霊の被造物が悪魔<デヴィル>(中傷する者)サタン(抵抗者)として知られるようになったのはふさわしいことでした。―創世記 3:1-5。ヨブ 1:6

4 あるみ使いたちはノアの日にどのように罪を犯しましたか。

4 そののち他のみ使いたちが悪魔サタンの側に付きました。義人ノアの時代に,それらのみ使いの中のある者たちが天での務めを放棄し,地上の女性との性関係を切望して,その欲情を満たすために肉の体を着けました。きっとサタンがそれらのみ使いたちに働きかけ,そのような不従順な行動を取らせたのでしょう。結果として,それらのみ使いからネフィリムと呼ばれる混血の子孫が生まれ,暴力を振るう暴れ者になりました。エホバが大洪水を起こされた時,堕落した人間は,不従順なみ使いたちから生まれたこの不自然な子孫と共に滅ぼされましたが,反逆したみ使いたちは肉の体を非物質化し,霊の領域に戻ることによって滅びを免れました。しかし神は,それらの悪霊たちを霊的な暗闇に追放された者として扱い,そうすることによって彼らを抑制されました。(創世記 6:1-7,17。ユダ 6)「悪霊どもの支配者」サタンと配下の邪悪な使いたちは,それでもなお反逆の道を歩みつづけてきました。(ルカ 11:15)彼らは何を目標にしているのですか。

5 サタンと配下の悪霊たちはどんなことを目的にしていますか。人々をわなにかけるために何を利用していますか。

5 サタンと悪霊たちのよこしまな目的は,人々をエホバ神に背かせることです。したがって,これらの邪悪な者たちは人類史上いつの時代も人々を惑わし,おびえさせ,攻撃してきました。(啓示 12:9)現代の実例を見れば,悪霊の攻撃が以前のどんな時代にもまして狂暴になっていることが確信できるでしょう。悪霊たちは人々をわなにかけるため,多くの機会にありとあらゆる形の心霊術を利用します。悪霊たちはどのようにこの誘惑を仕掛けるのでしょうか。あなたはどうすれば自分を守ることができますか。

邪悪な霊たちがあなたを惑わすために用いる方法

6 心霊術とは何ですか。心霊術にはどんな形のものがありますか。

6 心霊術とは何ですか。それは,直接に,あるいは人間の霊媒を通して,悪霊たち,つまり邪悪な霊たちと交信することです。猟師のために餌が果たす役割は,悪霊たちのために心霊術が果たす役割とよく似ています。餌は獲物を引き寄せます。猟師が動物をわなにおびき寄せようとして様々な餌を用いるように,邪悪な霊も人間を支配しようとして様々な形の心霊術を助長します。(詩編 119:110と比較してください。)占い,魔術,吉凶の兆しを求めること,呪術,まじないで他の人を縛ること,霊媒に相談すること,死者に問い尋ねることなどは皆,心霊術の一部です。

7 心霊術はどれほど広まっていますか。心霊術がいわゆるキリスト教の国々でも盛んなのはなぜですか。

7 この餌は効果を上げます。というのは,心霊術は世界中の人々を引き付けているからです。ジャングルの村に住む人たちは呪術医にお伺いを立て,都市部の勤め人たちは占星術者に相談を持ちかけます。いわゆるキリスト教の国々でも心霊術は盛んです。調査が示すところによると,米国だけでもいろいろな形の心霊術の専門誌が30種類もあって,合計1,000万部を超える発行部数を誇っています。ブラジル人は毎年5億㌦余りのお金を心霊術関係の物品に注ぎ込んでいます。ところが,この国の心霊術関係の崇拝所に通う人々の8割は,ミサにも出席するバプテスマを受けたカトリック教徒なのです。僧職者の中にも心霊術を行なう人たちがいるため,信心深い多くの人たちは,心霊術を行なうことは神に受け入れられると考えています。しかし,本当にそうでしょうか。

聖書が心霊術の慣行を非としている理由

8 聖書は心霊術をどう見ていますか。

8 ある形態の心霊術は良い霊と接触するための方法だと聞かされてきた人は,聖書が心霊術について述べている事柄を知って驚かれるかもしれません。エホバの民はこう警告されていました。「あなたは霊媒に身を寄せてはいけない。出来事の職業的予告者に相談してはいけない。それらによって汚れることのないためである」。(レビ記 19:31; 20:6,27)聖書の啓示の書は,「心霊術を行なう者」は最後には,『第二の[永遠の]死を表わす』,「火と硫黄で燃える湖」に行き着く,と警告しています。(啓示 21:8; 22:15)どんな形のものであれ心霊術はエホバ神に是認されません。(申命記 18:10-12)なぜそう言えるのでしょうか。

9 現代における霊界からのお告げがエホバからのものではないと結論できるのはなぜですか。

9 エホバは,聖書がまだ完成していなかったときに,良い霊たち,つまり義なるみ使いたちを遣わして,ある人間たちとの意思の交流を図られました。聖書の完成後は,エホバに受け入れられる方法でエホバに奉仕するために人間が必要とする導きを,神の言葉が与えてきました。(テモテ第二 3:16,17。ヘブライ 1:1,2)神が聖なるみ言葉を差しおいて,霊媒に直接お告げを下されることなどありません。現代における霊界からのその種のお告げは,すべて邪悪な霊から発せられるものです。心霊術を行なうなら,悪霊に悩まされるだけでなく,邪悪な霊に取りつかれることさえあるのです。そのために神は,どんな心霊術の慣行ともかかわりを持たないよう,愛をもってわたしたちに警告しておられるのです。(申命記 18:14。ガラテア 5:19-21)また,もしわたしたちが心霊術に関するエホバの見方を知った後も心霊術を行ない続けるなら,反逆した邪悪な霊たちに荷担することになり,神の敵となってしまうでしょう。―サムエル第一 15:23。歴代第一 10:13,14。詩編 5:4

10 占いとは何ですか。それを避けるべきなのはなぜですか。

10 人気のある心霊術の一つは占いです。占いとは,霊者の助けを得て将来のことや未知の世界を知ろうとすることです。占いの中には,占星術,水晶球による占い,夢判断,手相術,タロー・カードを用いた運勢判断などがあります。占いを無害な楽しみとみる人は少なくありませんが,聖書によれば,運勢判断をする人と邪悪な霊たちとの間には密接な関係があります。例えば,使徒 16章16節から19節には「占いの悪霊」のことが出てきますが,ある女性はこの悪霊の力によって「予言を業と」することができました。ところが悪霊たちが追い出されると,将来を予告するこの女性の能力は失われてしまいます。占いが,人をわなにおびき寄せようとして悪霊の用いる餌であることは明らかです。

11 死者と交信する試みはどのように人をわなに陥れますか。

11 愛する家族の成員や親しい友の死を嘆き悲しんでいる人は,もう一つの餌とも言えるものに誘惑されやすいかもしれません。霊媒から特別な情報が与えられたり,死んだ人の声と思われる声で語りかけられたりするかもしれません。用心してください! 死者と交信する試みは人をわなに陥れます。なぜでしょうか。死者は話すことができないからです。覚えておられると思いますが,神の言葉は明確に,人は死ぬと「自分の地面に帰る。その日に彼の考えは滅びうせる」と述べています。死者には『何の意識もない』のです。(詩編 146:4。伝道の書 9:5,10)さらに,亡くなった人の声をまね,死んだ人についての情報を霊媒に伝えることで知られているのは,実際は悪霊たちです。(サムエル第一 28:3-19)ですから,「死者に問い尋ねる者」は邪悪な霊のわなにとらわれているのであり,エホバ神のご意志に反する行動を取っているのです。―申命記 18:11,12。イザヤ 8:19

引き付けておいて攻撃する

12,13 悪霊たちが相変わらず人々を誘惑し,いやがらせをしていることを示すどんな証拠がありますか。

12 心霊術に関する神の言葉の諭しに従うとき,あなたは悪霊の仕掛けた餌をはねつけることになります。(詩編 141:9,10; ローマ 12:9と比較してください。)それは,もう邪悪な霊があなたを生け捕りにすることはないという意味でしょうか。決してそうではありません! サタンはイエスを三度誘惑した後,「別の都合の良い時まで彼のもとから身を引いた」と記されています。(ルカ 4:13)同様に,意固地な霊たちも,人々を引き付けるだけでなく,攻撃を加えます。

13 神の僕ヨブに加えられたサタンの攻撃については少し前に考慮しました。思い起こしてみましょう。悪魔はヨブの家畜を失わせ,ヨブの僕の大部分を死に至らせました。サタンはヨブの子供たちの命さえ奪いました。その後はヨブ自身を痛々しい病気で苦しめました。それでもヨブは神への忠誠を保ち,大いに祝福されました。(ヨブ 1:7-19; 2:7,8; 42:12)悪霊たちはそれ以来,ある人たちを口のきけない状態,目の見えない状態にさせ,人間の苦しみを大いに喜びつづけてきました。(マタイ 9:32,33; 12:22。マルコ 5:2-5)今日では,悪霊たちは人に性的ないやがらせをしたり,人を追いつめて気を狂わせたりすると言われています。さらには,殺人や自殺という神に対する罪を犯すよう,人々を駆り立てることもあります。(申命記 5:17。ヨハネ第一 3:15)それでも,かつてこうした邪悪な霊のわなにとらわれていた大勢の人たちは,その束縛を断ち切ることができました。どうしてそうすることができたのでしょうか。束縛を断ち切るために非常に大切な手段を講じたのです。

邪悪な霊たちに抵抗する方法

14 どうすれば1世紀のエフェソスのクリスチャンの模範に倣い,邪悪な霊たちに抵抗できますか。

14 邪悪な霊たちに抵抗し,自分と家族を彼らのわなから守るための一つの方法は何でしょうか。信者となる前に心霊術を行なっていた1世紀のエフェソスのクリスチャンたちは,積極的な手段を講じました。聖書には,「魔術を行なっていたかなり大勢の者が自分たちの本を持ち寄って,みんなの前で燃やした」と書かれています。(使徒 19:19)心霊術を行なっていないとしても,心霊術に用いる物や心霊術のにおいがする物は処分してください。本,雑誌,ビデオ,ポスター,レコードやテープの類,心霊術的な目的のために用いられる物品はその範疇に入ります。また,厄除けの偶像やお守りなどの物品,心霊術を行なう人たちからもらったプレゼントもその中に含まれます。(申命記 7:25,26。コリント第一 10:21)一つの例を挙げましょう。タイに住むある夫婦は,悪霊たちから長い間いやがらせをされてきました。そこで二人は心霊術と関係のある物品を処分しました。どんな結果になったでしょうか。この夫婦は悪霊の攻撃から解放され,その後はめきめき霊的な進歩を遂げました。

15 邪悪な霊の勢力に抵抗する際に必要なもう一つの手段とは何ですか。

15 邪悪な霊たちに抵抗する際に必要なもう一つの手段は,使徒パウロの助言を当てはめ,神から与えられた,完全にそろった霊的な武具を身に着けることです。(エフェソス 6:11-17)クリスチャンは,邪悪な霊に対する守りを固めなければなりません。これにはどんな事柄が含まれるでしょうか。パウロはこう述べました。「何よりも,信仰の大盾を取りなさい。あなた方はそれをもって,邪悪な者の火矢をみな消すことができます」。確かに,信仰が強くなればなるほど,邪悪な霊の勢力に抵抗できる力は増し加わります。―マタイ 17:14-20

16 自分の信仰を強くするにはどうしたらよいのでしょうか。

16 自分の信仰を強くするにはどうしたらよいのでしょうか。これからも聖書の研究を続け,聖書の助言を自分の生活に当てはめることです。人の信仰の強さはおもに信仰の土台,つまり神についての知識がどれほどしっかりしているかということに依存しています。あなたも,聖書の研究を通して正確な知識を得,その知識を心に深く刻むことによってご自分の信仰を築くことができたと思われませんか。(ローマ 10:10,17)ですから,この研究を続け,エホバの証人の集会に出席することを習慣にすれば,あなたの信仰はいよいよ強められるに違いありません。(ローマ 1:11,12。コロサイ 2:6,7)それは,悪霊の攻撃に対する強力な防御となるでしょう。―ヨハネ第一 5:5

17 邪悪な霊の勢力に抵抗するため,さらにどんな手段が必要かもしれませんか。

17 邪悪な霊の勢力に抵抗することを固く決意している人は,さらにどんな手段を講じることができますか。エフェソスのクリスチャンは悪霊崇拝のはびこる都市に住んでいたため,保護となるものを必要としていました。それでパウロはそれらのクリスチャンに,「すべての機会に霊によって祈りなさい」と勧めました。(エフェソス 6:18)わたしたちも悪霊のはびこる世に生活しているので,邪悪な霊たちに抵抗しようと思えば,神の保護を求める熱烈な祈りは欠かせません。(マタイ 6:13)この点で助けになるのは,クリスチャン会衆内の任命された長老たちによる霊的な援助と祈りです。―ヤコブ 5:13-15

邪悪な霊たちとの闘いを続けなさい

18,19 悪霊に再び悩まされるようになったなら,どうすればよいでしょうか。

18 しかし,こういう基本的な手段を講じた後も邪悪な霊に悩まされてきた人たちがいます。例えば,コートジボワールに住むある男性はエホバの証人と聖書を研究し,持っていたお守りをことごとく処分しました。その後も立派な進歩を遂げ,自分の命をエホバに献げてバプテスマを受けましたが,その1週間後,またもや悪霊に悩まされるようになりました。新たに見いだした信仰を捨てるようにと言う声が聞こえてきたのです。もしこのようなことが起こったとしたら,それはあなたがエホバの保護を失ったことを意味するのでしょうか。必ずしもそうではありません。

19 完全な人間であったイエス・キリストは神から保護されていたものの,邪悪な霊の被造物である悪魔サタンの声を聞きました。イエスはそういう場合にどうすべきかを示しておられます。イエスは悪魔に,「サタンよ,離れ去れ!」と言われました。(マタイ 4:3-10)あなたも同じように,霊界からの声に決して耳を傾けないようにすべきです。エホバの助けを呼び求めることによって,邪悪な霊に抵抗してください。そうです,神のみ名を用いて声を出して祈ってください。箴言 18章10節は,「エホバのみ名は強固な塔。義なる者はその中に走り込んで保護される」と述べています。コートジボワールのクリスチャンの男性はそのようにしたため,邪悪な霊はこの人に対するいやがらせをしなくなりました。―詩編 124:8; 145:18

20 要約すると,邪悪な霊に抵抗するために何を行なうことができますか。

20 エホバは邪悪な霊の存在を許してこられましたが,とりわけご自分の民のためにはご自身の力を示されます。また,エホバのみ名は全地に宣明されています。(出エジプト記 9:16)神のそばにとどまっているなら,邪悪な霊を恐れる必要はありません。(民数記 23:21,23。ヤコブ 4:7,8。ペテロ第二 2:9)邪悪な霊の力は限られています。彼らはノアの時代に処罰を受け,最近では天から追い出されて,今は最終的な裁きを待っています。(ユダ 6。啓示 12:9; 20:1-3,7-10,14)事実,それらの霊たちは来たるべき滅びを怖れています。(ヤコブ 2:19)ですから,邪悪な霊が何かの餌であなたを引き付けようとしても,何らかの方法であなたを攻撃しようとしても,それらの霊に抵抗することは可能です。(コリント第二 2:11)あらゆる形の心霊術を退け,神の言葉の助言を当てはめ,エホバの是認を求めてください。即刻そうなさってください。あなたの命は,邪悪な霊の勢力に抵抗するかどうかにかかっているからです。

知識を試してみましょう

邪悪な霊はどのように人々を惑わそうとしますか

聖書が心霊術を非としているのはなぜですか

どうすれば邪悪な霊の勢力の束縛を断ち切ることができますか

邪悪な霊に抵抗し続けるべきなのはなぜですか

[研究用の質問]

[110ページの図版]

あなたはさまざまな形の心霊術をどのように見ていますか